観察 | 海の生物:34(画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)
南房総 沖ノ島:危険生物と言われ悪名高きウニ「ガンガゼ」
これが、クラゲ、ゴンズイなどとともに海の水中危険生物と言われている「ガンガゼ」。ガンガゼは、房総半島以南の熱帯域・温帯域に分布するガンガゼ目ガンガゼ科のウニ。全体に黒紫色をしていて、殻は薄くて脆く直径は5~9cm程度、上から見るとほぼ円形で底が平らな半球形をしている。特に目立つのが、袋状に膨らみその開口部周辺がオレンジ色がかった黄色い肛門と毒がある長い棘。目のような肛門の回りには、5列の青色点と5個の白点があり鮮やかだ。上向きの長い棘は、長いもので30cm程度に達し本体に比べて著しく長いので他のウニと簡単に見分けられる。ガンガゼの棘は、よく見かけるムラサキウニやバフンウニなどの棘と違い長く鋭く中空で細かなかえしがついていて折れやすく皮膚の中で折れて残ることが多く、ウェットスーツやドライスーツでも平気で貫通してくる。 さらにこの棘には、毒があり刺された患部は熱を持ち痛みと腫れがでてくる。この棘は、自然に出てくる事はほぼ無いので、ピンセットや毛抜きでトゲを抜くしかない。どうしても抜けない時は、病院に行って除去してもらう。そのままにしておくといつまでも体内に残っていて、激しい痛みが続く。このガンガゼは、食べることもできるらしく、ウニらしい風味はやや無いのだが濃厚な甘みとうま味があるらしい。旬は夏。(Data:2015/08/13)
南房総 沖ノ島:海中に咲く花「ケヤリムシ」
海の中で、花のように咲くこの生き物がケヤリムシ目ケヤリムシ科の「ケヤリムシ」で環形動物のゴカイの仲間。「ケヤリムシ」は、世界中の温帯~熱帯の海に分布しほぼ年間を通じて観察でき、動かず固着生活を送る。体長は、大きいもので10cm~15cm程度。体から石灰質の粘液を出し泥を固めて作った巣(棲管)中に定住している。鰓冠(さいかん)は繊毛の生えた羽状突起を持ち,海の中では鰓冠が多数の触手を広げ花のようになる。この触手は、呼吸器の役割と付け根にある口へプランクトンなどの浮遊物を誘導し餌とするためにある。棲管の中にあるケヤリムシの体は、ゴカイのような細長い形をしている。鰓冠の色は、褐色系で個体差はあるが、暗いピンク色の個体が多い。驚かすと全体を一瞬で棲管に引っ込めてしまうた。ケヤリムシの和名は、大名行列などに登場する「毛槍」からきている。(Data:2015/08/13)
南伊豆 雲見海岸:ネンブツダイと少し違う?「オオスジイシモチ」
オオスジイシモチは、テンジクダイの仲間で国内では千葉辺りから南に分布し水深10m位までの沿岸の浅いサンゴ礁や岩礁域などに生息する。主に、夜間に活動し小魚や甲殻類などを食べる。体色は淡い赤褐色で、体側には吻から伸びる暗赤色の縦縞が5本あり尾柄部には黒斑がある。昼間は岩やサンゴの隙間などに隠れてあまり出てこないが、夜になると泳ぎ出す。幼魚は群れをつくって生活するが、成魚は、ふつうは単独で生活する。体長は、約15 cm程度で眼や口は大きく、上顎は下顎よりも少し長い。産卵期は4~8月頃で、この時期にはペアを形成し、雌は雄の口内に産卵しその後雄は卵が孵化するまでの1~2週間ほ程を口内で育てる。テンジクダイ属の「ネンブツダイ」にも似るが、体側の縦縞の数が異なる。また、「コスジイシモチ」にも似るが、オオスジイシモチは5本の体側の縦帯と尾びれの付け根の黒色の斑紋が尾ビレにかからないことで区別できる。さらに、よく似た「ウスジマイシモチ」というのがいるが、オオスジイシモチが真ん中の縦線が尾鰭後縁まで達しないのに対し、ウスジマイシモチは達することで区別できる。(Data:2015/08/13)
南伊豆 雲見海岸:古代魚系の不気味な魚「タナバタウオ」
釣りをしていたら、この不気味な魚が釣れた。これが、スズキ目タナバタウオ科タナバタウオ属の「タナバタウオ」で八丈島、伊豆半島以南の太平洋岸の岩礁域や潮だまりの岩や死サンゴの下にいることが多い。体地色は黒褐色で、背鰭に11本の棘があり体側には顕著な斑紋はないが背鰭の縁が橙色、基部が青い色をしている。「タナバタウオ」は、背鰭や臀鰭に青色の線を出したり、頭部に橙色域がでたり、興奮時あるいは夜間には体側に5本の黒色横帯が現れたりするふしぎな魚だ。体長7cmほどで、甲殻類や小魚などを捕食する。腹の下についているヒレは、足みたく支えたり仰け反ったりすることができる。繁殖期はは6~8月頃で、繁殖期の雄は頭部が鮮やかな黄色となり、背びれなどもオレンジ色のラインが入る婚姻色となる。卵は、岩の下面天井部に産み付けられ、孵化まで雄がこれを世話するそうだ。体型的には、シーラカンスなどような古代魚系に似てるいて不気味さがある。伊豆には、近い仲間の「ナカハラタナバタウオ」がいて、背びれの棘数が11本(タナバタウオ)か12本(ナカハラタナバタウオ)で判別することができる。(Data:2015/09/22)
南伊豆 千貫門:貝殻の中から顔を出す「イソギンポ」
フジツボの貝殻なのか、顔をだしているのがスズキ目イソギンポ科の「イソギンポ」。北海道~九州までの日本各地の沿岸の岩礁性海岸、潮間帯の潮だまりに生息し普通に見られる魚だ。眼の上に大きな縁辺がくしの歯状に分枝した皮弁があり雄では著しく長い。体色は、すみ場所によって変化し、淡緑色や淡褐色などであるが一般には灰褐色から茶褐色で体側には暗色や赤褐色の斑紋があったりして体に鱗(うろこ)がない。上顎には大きな犬歯があり鋭く、噛まれるとほぼ間違いなく出血するかも?。この犬歯と皮弁が特徴。普通は、体長が6cm~7cmほどになり成長すると全長10cmにもなる。写真のように、フジツボや貝の中、あるいは岩にあいた孔の中に頭だけを出して潜んでいることある。逆に、跳びはねたり、すばやく穴に潜り込んだり動作が速い。顔つきがかわいいため観賞魚や写真の被写体には良く出てくる魚だ。(Data:2015/09/22)