観察 | 海の生物:23(画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)
葉山 芝崎海岸:磯の岩の下の常連「ニホンクモヒトデ」
この星のような生き物が、日本近海の日本海と太平洋岸の銚子以南に生息し、磯の石の下などでふつうに見られる「ニホンクモヒトデ」。見かけはヒトデと少しに似るが、ヒトデと違って体(盤)と腕の区別がはっきりしている。「ニホンクモヒトデ」は、クモヒトデ目クモヒトデ科で、平たい五角形の暗褐色の体に細長い腕があり、腕の表面は小さいうろこで覆われ縞模様がある。腕の中には、腕骨という骨が連なっていてくねくねと動かすことができ、はいまわるようにかなり素早く動く。漢字では、『日本蜘蛛海星』と書きヒトデの仲間で再生力も強い。 (Data:2014/05/17)
葉山 芝崎海岸:気持ち悪い腕の長さ「ウデナガクモヒトデ」
この腕が長いクモヒトデが、「ウデナガクモヒトデ」。名称そのもの。サンゴ礁や磯の岩の下に生息する。盤の直径は2cm以下なのだが、腕はきわめて細長く50cm近くになる。灰褐色で、腕にはしまもようがある。すばやいスピードで逃げていくが、にょろにょろんと長い腕が気持ち悪い。腕はもろく、千切れやすい。クモヒトデの仲間は海底表面に積もるデトリタスと呼ばれる微細な有機物を食べて生活している。この「ウデナガクモヒトデ」も、くねくね腕を動かしたくさんのデトリタスを砂ごと口の中に放り込み有機物だけを消化する。長い腕は効率的にたくさんのデトリタスを集めるためと考えられている。(Data:2014/05/17)
葉山 芝崎海岸:トゲがある小型のクモヒトデ「ナガトゲクモヒトデ」
これが潮間帯や潮下帯の岩の下に普通に見られる「ナガトゲクモヒトデ」。盤は丸く、盤形1cm程度で腕が5cm程度。腕の両側に、長いとげが並んで生えている。色彩は変化に富む。盤と同様に、二等辺三角形の形をした白い輻楯も微細な顆粒もしくはトゲを持った棘に被われている。沿岸性と亜沿岸性の2型があるとのことだが、沿岸性の腕棘は先端に向かって著しく拡大して先端はややこん棒状となるという。クモヒトデモは、日本で約300種、世界で約2300種もいるとのことで、クモヒトデひとつとっても、磯の生き物も奥が深いと思う。(Data:2014/05/17)
緑色のイモムシみたいな海の生き物「ミドリヒモムシ」
この緑の変なミミズのような生き物は、紐形動物の「ミドリヒモムシ」。本州中部以南に分布し、岩のすきまや割れ目などにひそむ。大きな個体では、体長80cm,幅1cmまでになる。全体に濃い緑色で模様がなく、頭部はへら状で黒い目がある。前縁の中央部がややくぼんでいる。頭部と頸部(けいぶ)との区別ははっきりしている。岩の間や下を移動し、触ると粘液でべとべとする。それほど珍しい生き物ではないのだが、なんだか気持ちが悪い。ヒモムシは、ヒモガタ動物門という大きなグループの生き物で、ほとんどが海に生息し、吻(ふん)と呼ばれるくちばしのような器官をのばして獲物を捕まえる。紐形動物門は、かつて原始的な動物と言われたが、環形動物や軟体動物とともに冠輪動物の中に分類される。(Data:2014/05/17)
葉山 芝崎海岸:笠貝類としてはもっとも大きくなる「マツバガイ」
本州以南の磯ではごく普通に貝つけることができる「マツバガイ(松葉貝)」。別名ウシノツメとも呼ばれる笠形の貝殻をもつカサガイの一種で、日本本土の笠貝類としてはもっとも大きくなる。小さなものから大きなものまで磯で良く見かけるが、大きなものでは殻長が10cm程度、殻高2cm程度にまでになる。殻口は前方が狭まる楕円形で、殻頂も前方に偏る。殻の表面は平滑で、青灰色の地に赤褐色の放射状の模様があるが、成長した個体では模様がはっきりしないことが多い。殻表の地色は灰褐色や暗青色で、その上に赤褐色-黒色の模様が入る。「マツバガイ」の名前の由来は、殻の表面にある放射状の赤い筋が松の葉のように見えることからきているとのこと。微小藻類を、歯舌でそぐようにして採餌する。この「マツバガイ」は、地方によっては味噌汁や吸い物などにして食べるらしい。 (Data:2014/05/17)