三浦半島の中でも数少ない貴重な干潟がある江奈湾

三浦半島の貴重な江奈湾の干潟を歩く(2015/06/07 中潮)の画像01

三浦半島の貴重な江奈湾の干潟を歩く(2015/06/07 中潮)

干潟は、遠浅の浜のことで引き潮時に、海底が広く現れるところを言う。この干潟は、四季を通じていろいろな生き物を見ることができる貴重な場所。三浦半島の南部には3つの干潟(小網代湾・毘沙門湾・江奈湾)があり今回は、その一つの「江奈湾の干潟」で生き物の観察を楽しんだ。江奈湾の干潟は、三浦半島南端部に位置し湾口を開いた江奈湾の湾奥に残された2ヵ所にある小さな干潟。一つは、田鳥川など3つの小さな河川が流入して流れる澪筋(みおすじ)の両側にできた泥質干潟でヨシ群落がある。もう一つは、江奈湾中央の砂礫干潟で、潮下帯にはアマモ群落が見られる。江奈湾の干潟は、カニの種類が多い。ヨシ群落には、アシハラガニやハマガニなどが生息し、泥場にはコメツキガニ、転石の下などにケフサイソガニなどが生息している。泥の中には、テッポウエビ、スナモグリ、オキシジミガイ、アサリなどもいる。アマモ群には、ボラ、ウミタナゴ、サビハゼなどの幼魚が生息する。また、水鳥も多くキアシシギ、ハマシギ、コチドリ、コサギなどを見る事ができ、秋や冬には三浦半島に飛来する渡り鳥も見ることができる。このように干潟は、生き物の宝庫なのだ。

小河川が流入して来る部分にあるヨシ群落の画像02

小河川が流入して来る部分にあるヨシ群落

小さな河川が流れる澪筋(みおすじ)の画像03

小さな河川が流れる澪筋(みおすじ)

干潟中央の泥質干潟の画像04

干潟中央の泥質干潟

潮下帯のアマモ群落の画像05

潮下帯のアマモ群落

干潟中央奥の泥質干潟の画像06

干潟中央奥の泥質干潟

道路側の砂礫干潟の画像07

道路側の砂礫干潟

干潟への服装と江奈湾干潟で見かけた生き物

干潟への服装と注意

干潟に入るとことは、泥沼の中に入り込むのと同じこと。まっすぐ歩こうとすると足が沈みはじめる。泥がゆるい所は、軽く20cm以上は足が泥の中に入ってしまう。中には、身動きが取れなくなり脱出しようとするとますますはまってしまう場合もある。子どもは、特に気をつけたい。しかし干潟を歩くと、ふしぎと大自然とひとつになったような気持ちになる。干潟に入る時の服装は、濡れても良い動きやすい服装がおすすめ。水着やラッシュガードのように海水に濡れても良い服装がいい。特に、靴には気を配りたい。本来は、どのような水場にも適した ウェーダーがいいのだろうが普通は持っていない。長靴もいいのだが泥に足がとられやすい。個人的には、マリンシューズがおすすめだ。私たちは今回、シュノーケリングブーツで干潟に入った。タビのような マリンシューズ(アクアシューズ)は、泥の中でも足が取られにくい。基本は、動きやすい服装に、動きやすい靴、そして帽子、軍手。

泥の中には、石ころや貝殻が混ざっていることもあるので、走ったり、飛び込んだりすることはやめよう。
また、潮の引く時間、満ちる時間をしっかり頭にいれ干潟を楽しみたい。海水がやってきて溺れかけては楽しみも台無しだ。

シュノーケリングブーツで干潟に入るの画像08

シュノーケリングブーツで干潟に入る

江奈湾の干潟で見かけた主な生き物①

アシハラガニ

小さな河川が流入して流れる澪筋(みおすじ)の元にあるヨシ群落と川の両側に、大き目のカニがウジョウジョいた。これが、「アシハラガニ」だ。河口付近のヨシ群落がある干潟でよく見かけるカニで、干潟でしか見ることができない。江奈湾の干潟の他のカニよりも大きいので目立つ。何匹ものアシハラガニが、干潟を歩き回っていた。歩くのが早いのだが、比較的手でつかみやすいカニだった。

生き物の説明は、こちら

アシハラガニの画像01

アシハラガニ

チゴガニ

ヨシ群落から澪筋(みおすじ)の中央部分までの泥質干潟に、小さな穴があちらこちらに開いていた。立ち止まり、じっと穴を見続けるとあちらこちらの穴から小さなカニが一斉に出てくる。やがて、この多くのカニたちが真っ白いハサミを何度も高く振り上げて踊りだす。これが「チゴガニのウェービング」だ!!チゴガニは、小さいので座って干潟をなめるように見ないとウェービングがわからないが、この風景は干潟の楽しみなのだ。

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チゴガニの画像01

チゴガニ

チゴガニのウェービングの画像09

チゴガニのウェービング

チゴガニの画像02

チゴガニ

ヤマトオサガニ

澪筋(みおすじ)の中央部分に、眼が長いカニが歩いていたのでそれをゲット。このカニが「ヤマトオサガニ」。ヤマトオサガニも、汽水域の軟泥の干潟に巣穴を掘って生息している。眼がとても長く、まるで潜水艦の潜望鏡のような眼をしている。干潟では、多くのカニが歩いているので、みな同じように見えてしまうのだが一つ一つ見てみると違うカニだったりするのでよく見て欲しい。

生き物の説明は、こちら

チゴガニの画像02

ヤマトオサガニ

ケフサイソガニ

海の潮下帯近くのアマモ群落の上にカニが歩いていた。これが、「ケフサイソガニ」だ。内湾の河口付近の転石の下や岩に付いた貝殻の隙間などに生息するので、見つけにくいのだがアマモの上にいた。多くのカニを見れば見るほど干潟は、カニの宝庫。ケフサイソガニは、タカノケフサイソガニと分けられ実は2種類だったことが判明。タカノケフサイソガニは、多いのでこのカニもタカノケフサイソガニの可能性はある。

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ケフサイソガニの画像01

ケフサイソガニ

シオフキ

あさりより少し大きめの厚い貝があちらこちらに落ちていた。これが「シオフキ」。一見,バカガイとよく似ているが、手に取ると潮を噴出す。名前の由来にもなっている。潮干狩りでアサリと共によく獲れる貝のひとつなのだが、砂抜きが面倒で食べる貝としては人気がない。味はアサリと変わらないとのこと。干潟のシオウキは、特に砂や泥を吸い込んでいるので砂抜きは苦労する。

生き物の説明は、こちら

シオフキの画像01

シオフキ

ホソウミニナ

干潟の泥の上に、小さな巻貝があちらこちらにいた。江奈湾の干潟にいるウミニナ科は、この「ホソウミニナ」が多い。「ウミニナ」と比較してホソウミニナは、小型で細長く彫刻のきめが細かいことと殻口が殻に比して小さく円形をしている。大きな相違は、殻口上部に滑層瘤(かっそうりゅう:陶器のような質感の白い三角形部分)がないことで区別できる。ウミニナ科の貝は、干潟の代表格だ。

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ホソウミニナの画像01

ホソウミニナ

江奈湾の干潟で見かけた生き物②

マメコブシガニの画像10

マメコブシガニ

カニの後ろ部分しか写っていないが、このカニがコブシガニ科の「マメコブシ」。マメコブシは、前後に真直ぐに歩くめずらしいカニ。また、砂に潜るのも得意なカニ。名前は、小さな拳に見えるところからマメコブシという名前がついたとのこと。

アカクラゲの死骸の画像11

アカクラゲの死骸

「アカクラゲ」の死骸があった。アカクラゲは、刺胞動物クラゲ類オキクラゲ科のクラゲで直径10cm程度。多数の触手と傘の上の赤い筋が特徴。刺胞毒が強いので注意が必要。死骸でも毒があるので触らないように注意。触らぬ神にたたりなし。

ボラの幼魚?の画像12

ボラの幼魚?

澪筋(みおすじ)を登っていた小魚がいた。はじめは、オイカワなどの幼魚と思ったのだが、背びれが二つなのでおそらくボラの幼魚なのかもしれない。ボラの仲間のニナダかもしれない。判別が難しい。

ミズヒキゴカイの画像13

ミズヒキゴカイ

干潟の海水の中に、ミミズのようなものがいた。これが、「ミズヒキゴカイ」

生き物の説明は、こちら

タマシキゴカイの卵塊の画像14

タマシキゴカイの卵塊

干潟の上にゼリー状の変なものが。これが「タマシキゴカイの卵塊」だ。

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さまざまな貝の群集の画像15

さまざまな貝の群集

岩場の隙間に、さまざまな貝が密集していた、おそらくウミニナ科のさまざまなな貝が混じっていると思う。

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