冬キャンプへのポイントを考える
氷点下の夜でウォータータンクの水が凍った
(2016/12/11 スプラッシュガーデン秩父にて)
2016年12月10日、晩秋のキャンプを楽しむつもりだったが、強い寒気団が入ってきたとのことで夜には真冬並みの寒さになり氷点下なった。気温計で計っていないので正確な気温はわからないが、天気予報から-3°前後の夜になった模様だ。 「氷点下」とは、純水が凍る温度で、1気圧のとき摂氏0℃。気象情報では、気温0度よりも低い気温時に使用される。 天気予報では「マイナス3度」といった表現よりも氷点下3度と表現する方が多く0°は氷点下とは言わないとのこと。 つまり今回の夜は、水が凍る夜になったとのことだ。今回は、埼玉県秩父にあるスプラッシュガーデン秩父でのキャンプなので都内からも近いキャンプ場。秩父は、都心から近いながらも寒さが厳しくなるエリアで有名。 場所にもよるのだが、12月から3月のキャンプは、氷点下の夜を過ごすキャンプになることも多い。今回は、冬キャンプをするための準備にも参考となるような事が多かったので、氷点下の夜が明けた朝の状態を紹介し、冬キャンプへのポイントを考えてみたいと思う。 本ホームページでもキャンプの寒さ対策は、「ファミリーキャンプ(15):春キャンプの寒さ対策(1)」、「ファミリーキャンプ(16):春キャンプの寒さ対策(2)」で紹介しているので参考にしてほしい。「スプラッシュガーデン秩父」の紹介は、Shizengateキャンプ場ガイド「スプラッシュガーデン秩父」で紹介している。
氷点下の夜の寝床は?
今回は、ファミリーではなく仲間同士のキャンプだった。私たちは今回、氷点下の夜がどんなもんだがを余り考えずに氷点下の夜を過ごした。なぜならば、私以外は暖房機があるバンガローを利用したからだ。私は、マイナス18°対応シュラフの二重がさねの氷点下対応を試してみたかったので、ひとりでワンタッチテントの中で過ごした。その結果・・・
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暖気は上に上がる、冷気は床(下)から来る
今回、バンガロー内に暖房(エアコン)があるのでバンガローで寝る人は、余り氷点下の夜の寒さを気にしなかった。ところが、ほぼ全員が寒さで熟睡できなかったらしい。 一人はマイナス17℃対応のシュラフで、他の二人はオールシーズン用のシュラフ。床には、備え付けのマットを引いて寝たのだが、夜は寒かったとのこと。 暖房機が上に設置されていることが原因だろう。暖気は上に上がる。暖房機がないよりもバンガロー内は暖かいと思うが、バンガローで寝ている人のところまでは十分な暖気が行かなかったのだろう。 また、冷気は床から上がってくる。バンガローで寝た人は、上に上がってしまった暖気と床からの冷気で想像以上に氷点下の夜は寒かったとのこと。 冬にバンガローを利用する場合も、「暖気は上に上がり冷気は床(下)から来る」を頭に入れて氷点下の夜に準備したい。 電子カーペットや床上でのストーブなどの方が、上にある暖房機よりも暖かい。寒冷時のバンガロー宿泊は、暖房機の位置がポイントになる。
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シュラフの保温強化、重ね着とテントの結露対策
秋キャンプでは、適応温度がマイナス仕様の耐寒用シュラフをおすすめしているが、氷点下の夜を過ごすにはさらにひと工夫が必要だ。私は、-18度対応のシュラフを二重に重ね、その上でシュラフの足先の隙間に毛布を入れてシュラフ内に隙間がないようにした。 さらに、上下の保温インナーに厚手のトレーナーを2枚重ねて着た。マミー型シュラフの顔の周りをしっかり閉めて息ができる程度のみに空け外気が入り込むのを最小限に抑えるようにした。 結果的には、寒さをまったく感じないで寝れた。氷点下での寝袋のポイントは、①寝袋のマイナス適応温度を高める。②シュラフ内の隙間をなくし保温に努める。③外から外気が入ってこないようシュラフをしっかり閉めるがポイントだと思う。 また、氷点下のテント内は、外気とテント内の温度の差によって結露がテント内にできる。テント生地には、絶対に触れないような寝方にすることも大事だ。結露で濡れたシュラフで、寝るのは避けたい。
氷点下の夜が明けた朝は、驚きがいっぱい・・・
氷点下の夜が明けた朝、わかってはいるのだが氷点下のすごさを感じる多くの光景が目に入る。外に置いてある物のほとんどが凍っている。一夜で、ここまで凍るのかと思うほど氷点下のパワーはすごい。
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あらゆる物が凍る
テーブル上の物
朝起きて、テーブルの上を見たら霜が張っていてペットボトルの鳥龍茶はすでに凍っていてシャーベット状態。ステンレスコップの上部には霜が張りすぐに口にはつけられない状態。
ダッチオーブンのキムチ鍋が凍る
写真ではわかりにくいと思うが、昨夜食べたキムチ鍋の残りの汁がコチコチに凍った。ダッチオーブンなので氷点下影響がすぐに出たのだろうが、一夜で凍るとは?
ダッチオーブンのフタの裏
ダッチオーブンのフタの裏にもツブツブの氷ができていた。鍋の湯気がフタについて垂れるのが凍ったので丸い氷になるのだろう。つららの原理と同じ。
スキレット鍋のアヒージョも凍った
熱伝導が良いスキレット鍋なので、ダッチオーブンと同じなのだがたアヒージョのオリーブオイルも、ご覧の通リコチコチに固まっている。
ミニトマトとゆでたまご
写真ではわからないのだが、ミニトマトとゆでたまごも水分があるので、石のようにコチコチに固まっている。
電気ランタン
電気ランタンにも霜が張っていた。電気ランタンは、水分がないので、夜の間にランタンについた露がそのまま凍って霜になっている。
ウォータタンクの水はすべて氷に
ウォータタンクの水はすべて氷になっていた。水道が凍りつくというのもわかる。冬場は、ウォータタンクを一晩置いておけば氷ができることも今回、はじめて知った。
野菜やペットボトルの中身も当然凍る
ペットボトルの中身も当然凍る。ニラの茎の部分もしっかり凍っている。氷点下の外に出しておけば野菜も簡単に凍ることがわかる。
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ガス(缶)タイプバーナーは、寒冷には弱かった!
火力が弱いシングルバーナー
火がつかないツーバーナー
この写真を見て何が言いたいかわかるだろうか?上のシングルバーナーの写真は、朝起きた直後にコーヒーを飲みたくて火をつけたのだが写真の状態が最強の状態。 普段の1/3程度の火力しかなかった。ガス缶は、ハイパワーガスのIP-250Tを利用してもこの程度。おそらくノーマルガスタイプの250Gを利用したら着火自体しなかったかもしれない。 ユニフレームのガス式ツーバーナーは、通常のガス缶を利用していたので着火もしなかった。ガス式は、低温に弱いとは聞いていたが、ここまで利用できないとは。 日が出てきてから数時間後には、両バーナーとも利用できるようになった。火力が弱いかもしくは着火しないのは、ガスの成分が原因。 ガス式で利用されているブタンガスは沸点が0℃のため、気温が低いと気化しにくい。冬のキャンプなどでは、プロパンやイソブタンが使われている寒冷地仕様カートリッジを使うのがベスト。 250Tには、250Gと違いプロパンガスが約25%ある。それでも通常よりも火力が弱かった。説明書にも、「外部気温が極端に低い寒冷地やカートリッジが冷えきった状態では気体にならず使用することはできません。」と記載。 やはり氷点下ではガソリン式の方が強い。
【冬キャンプへのポイント】
適応温度がマイナス仕様の耐寒用シュラフを用意する
シュラフの保温性を高める工夫をし、外気が入るのを最低限に
一夜にして水分が凍ることを頭に入れる
テントの結露対策をする
寒冷地は、ガス式バーナーよりもガソリン式バーナーが強い
ガス式バーナーのガスについて
ノルマルブタン
沸点は-0.5℃で3種類の中で最も高く、氷点下での着火は不可能。蒸気圧は1.8kg/cm2+25℃と最も低く、気化しにくい特性。プリムスのIP-250Gは、ブタンガスでノルマンブタン65%でイソブタン35%。
イソブタン
沸点は-11.7℃でノルマルブタンより低く、-10℃でも着火が可能。蒸気圧は2.6kg/cm2+25℃でノルマルブタンより高いため安定した出力で燃焼し続けることができる。
プロパン
沸点は-42.1℃で3種類のLPGの中で最も低く、-40℃でも着火が可能。 蒸気圧は8.5kg/cm2+25℃で3種類の中で最も高いため安定した高出力で燃焼し続けることができる。反面カートリッジの内圧を非常に高くするため、混合率には限界がある。プリムスのIP-250Tは、ブタンガス(ノルマンブタン65%,イソブタン35%。)が約75%、プロパンガス約25%。
キャンプの防寒対策
テントシートを必ずひく
秋キャンプに限らず、通常のキャンプでも必要なのだが、キャンプの冷え込みはサイト地面からの冷え込みをどのように抑えるかがポイント。テントシートの設置は必要最低限なのだ。
テント内マットを工夫する
上記と同じように防寒対策の第一は、地面からの冷え込み防止。通常は、テント内にアルミマットやテントマットだけで過ごしているかと思うが、少しでも冷え込みを防ぐ上で、多重にテント内マットを引くことも効果がある。写真は、三重パターン。①紙ダンボール紙②アルミシート③テントマットと三重にすれば地面からの冷え込みも、かなり和らぐと思う。もちろん、エアーマット等を活用すればさらに効果大。
耐寒用シュラフの利用
秋キャンプは、一般的な秋夏用のシュラフでは寒い。秋夏用のシュラフを二重に重ねるか、本格的な冬の山岳用シュラフまでは必要ないが、適応温度がマイナス仕様の耐寒用シュラフをおすすめする。寒くて寝れないキャンプは最悪になってしまう。
ブランケットの利用
耐寒用シュラフがない場合や二重にする秋夏キャンプ用シュラフが人数分ない場合は、家にあるブランケット類を必要数シュラフにかけるのも対策だ。とにかく、寒さを防げぐ寝具対策が防寒の出発点になる。
スクリーンテントのフルクローズ
本HPで紹介た「スクリーンテント(シェルター)」の利用は、秋キャンプの防寒対策としておすすめだ。特に寝るときに、フルクローズしてしまえば、かなり冷え込みが抑えられると思う。秋キャンプでの簡単な防寒対策だ。
防寒の基本は重ね着と焚き火
秋キャンプの防寒対策の基本は、なんと言っても「重ね着」と「焚き火」だ。重ねて着れるいくつかの服を必ず持参することが大切。スキーウェアなど真冬の服があればOK。また、焚き火は秋キャンプの楽しみ。暖を取るための焚き火は、必要不可欠だ。
暖かい食べ物
秋キャンプの防寒対策で、「暖かい食べ物」は効果的。体の芯からの防寒対策は、他に勝るものはない。暖かい食事を中心に献立をつくるといい。
温泉
本HPで取り上げている「塩原グリーンビレッジ」は、キャンプ場内に温泉施設がある。キャンプ場近郊にある日帰り温泉を、有効的に利用するのも良い。湯冷め防止をするためにも、寝る少し前の入浴がおすすめ。
薪ストーブ・石油ストーブ
薪ストーブや石油ストーブ、AC電源を利用した電気毛布などを防寒対策にしている人もいる。「キャンプの寒さ対策③:ストーブ編」でストーブを紹介している。