自分で作った「かまど」の料理が、おいしく感じるのはなぜだろう?
河原の石で作った「かまど」
(2016/03/21:青野原オートキャンプ場にて)
かまどは、キャンプを感じさせてくれるひとつのアクティビティなのかもしれない。キャンプに慣れてくると、河原にある石などで「かまど」を作ってみたくなる。最近のほとんどのキャンプ場では直火禁止になっているので、なかなか自然の材料で「かまど」を作ることができない。 しかし、一部のキャンプ場では、直火が許されていてキャンプの醍醐味を感じることができる。直火が許されているキャンプ場ならば、現地にある石などで「かまど」を自分で組み「自作かまど」でさまざまな料理を作ることができる。 「自作かまど」で調理した料理は、なぜかおいしく感じる。今や多くのメーカーからさまざまな焚火台、コンロが発売され、これらの専用器具を利用して調理をすることが大半だと思う。 直火が許されているキャンプ場ならば、一度は「かまど作り」を体験して欲しい。「かまど作り」は、真のキャンプの楽しみに触れられるひとつだからだ。人が作った器具だけを毎日利用している子どもたちに「かまど作り」を体験させることは、自然とのふれあいのひとつとして、さらに知恵をつける機会になるかと思う。 今回は、直火が許されている神奈川県の「青野原オートキャンプ場」で「かまど作り」を楽しんだ。(残念だが、2020年より直火が禁止されてしまった。)青野原オートキャンプ場の紹介は、本ホームページのキャンプ場ガイド「青野原オートキャンプ場」で紹介している。 また、青野原オートキャンプ場の花見シーズンのようすは、本ホームページの「花見ファミリーデイキャンプを楽しむ」、「ファミリーキャンプ(12):花見キャンプ」で紹介している。自然遊びの機会を与えてくれる「かまど作り」、後始末はしっかりとしよう。
石組みかまどの作り方
数十年前のキャンプでは、「かまど作り」はキャンプ準備の大きなひとつとして存在していたが、今時のキャンプでは、なかなかこのようなワイルドなことはやらない・・・いや・・やれないようになってきた。 「かまどを作る」ということは、「焚き火を熾す」という基本原理の習得にも結びつき、野外で生きる為の生存技術のひとつなのだ。 石組みかまどには、「コの字石組み」、「平行石組み」、「3点かまど」「2本立て1本ぼう式かまど」「三つまた式かまど」、「たて穴式かまど」、「立ちかまど」などさまざまなかまどの形があるのだが、今回は一番標準的な「コの字石組み」の作り方を紹介したい。 コの字石組みかまどは、石を拾って組むかまどの代表的な形状のひとつで、コの字に石を組むかまど。石をコの字に組むことにより、鍋などを熱するのに効率がいい。いろいろ試したが、空気の通り道さえ開いていればどんな組み方でもかまどになる。
石組みかまどの作り方
①かまどの場所を決める
まず最初に、かまどを作る場所を決める。かまどの場所は、平らな場所を選ぶ。また、なるべく乾いた場所を選び可能ならば、テントの風下で水場に近い場所がいい。周囲に、燃えやすいテントや草木等がないことを確認したい。 特にキャンプ場では、他のキャンパーに迷惑にならないように、風下にキャンパーがいない場所を選ぶ。当然だが、焚火禁止の場所や川の中洲ではかまどをつくらない。
平らな場所を選ぶ
②かまどの大きさ決める
かまどに使える石を集める。土台には、大きくてすわりのいい石を選ぶ。調理器をのせる網を使うのか飯ごうなどが掛けられるクワトロポッドを使うのかでかまどの大きさが変わる。 かまど作りで最も大事なことは、風向き。コの字型のかまど作りは、かまどの正面が風上を向くようにコの字のように石を積み上げていく。 この風向きの方向判断を誤ると、火が起きにくかったり、煙くて調理しづらくなったりする。
かまどの大きさを決める
③石を積み上げ、かまどを作る
利用する網の大きさに合わせ石をコの字型に組んでいく。高さは薪の大きさにもよるが通常は、20~30cmの高さで十分。あまり高くすると燃焼効率が悪くなる。 開放部分が空気の入り道になる。大きな石のすき間を、小さな石でうめるようにして積み上げ、火を逃さないようにしていく。かまどの3辺の高さが同じになるようにし、上に平らな石などをのせて調節していく。 火床は、後始末を考えれば作ったほうがいい。
石を積み上げていく
④かまどの中心の地面を少し掘る
薪を置きやすいように、かまどの下を、少しほり下げる。
地面を少し掘る
⑤網がゆがんだ!
ダッチオーブンをセットし網にのせたら、網がゆがんでしまった。焼き物以外は、クワトロポッドのほうがベターと思う。
網がゆがんだ!
⑥クワトロポッドをセット
網がゆがんだので、クワトロポッドをセット。今回は、ダッチオーブンと飯ごうは、クワトロポッドを使うことにした。
クワトロポッドをセット
かまどの火のつけ方と後始末
薪を組み、火をつける
薪の組み方はいろいろあるが、最初に小枝や燃えやすい木屑、丸めた新聞紙などをかまどの中央に置く。火種をこれらの中に入れ(今回は、固定燃料を利用)、その上に少し大きめの薪を少し浮くように置く。本来は、自然の風を利用するのだが、風が弱い場合は、うちわで軽く風を送る。バタバタしなくても大丈夫。
太い薪を平らに重ねるように足す
火が安定したら、太い薪を平らに重ねるように足していき火が完全に回るのを待つ。薪の組み方は、薪を三角に組んだり四角に組んだりとさまざまな形があるのだが、肝心なことは薪の間に風が通るように隙間を空けること。 ゴミ、ビニール、プラスチック、発泡スチロールなどは、原則燃やさないこと。毒で汚れた料理を食べるようなもの。
薪を完全に燃え尽きす
かまどのあと始末の基本は、薪を完全に燃え尽きし灰にする。写真の赤丸部分のように燃え残った薪は、火ばさみなどで水につけて完全に消化し、ごみとして持ち帰る。正しく焚き火をすると、焚き火のあとには白い灰のみが残る。
元の状態に戻そう
かまどの用が済んだら、可能な限り元の状態に戻そう。使った石をきれいに散らしたり使った石の焦げた面を下に向けるなどして、痕跡を残さないのがマナー。さらに、燃え跡には水をかけその上に周りの土をまき、地面を掃いてならそう。大きな燃えカスなどはゴミ袋に入れて持ち帰る。かまどを使い終わった後に、かまどに水をかけたりしてはいけないと言われるが、時間的制限で完全にも燃やせない場合は、水をかけその後に、炭、灰、燃えカスをすべてゴミ袋に入れ持ち帰り地面をならしておこう。
かまどの火のつけ方と後始末
かまどは人を寄せ付ける
焚き火と同じで、かまどは人を寄せ付ける魅力を持っている。焚き火でも同じ力を持っているのだが、かまどには、自分で作った料理に一味付け加える調味料的なものがある。多少失敗した料理でも、おいしく感じさせる不思議な魅了を放つのがかまど作りだと思う。
かまどと飯ごう
「かまど」と「飯ごう」、この組み合わせは数十年前にはキャンプの象徴的な光景だった。今では、バーナーコンロが発達し飯ごうもバーナーコンロや焚き火台でごはんを炊くことも多いかと思う。この「かまど」と「飯ごう」の組み合わせは、今でもアウトドアの象徴的スタイルと言えるのではなかろうか?
さまざまなかまど
U字溝を利用したかまど
たまにキャンプ場に、U字溝が置いてありかまど代わりに利用することができる。U字溝は、かまど作りをする必要もなくすぐに使えるので便利だ。U字溝は、薪よりも主に炭のかまどとして利用する方が便利。
堀かまど
写真では、よくわからないと思うがこれが「堀かまど」。石ころの河原や海岸でかまどを作るときに、いちいち石を積み上げなくてもでききるかまど。堀かまどは、かまどにしたい中央部を堀り(ここでは石を取り除いていく)、その中に薪などを燃やしてかまどとする。火床も平らな石などで作った方が後始末がしやすい。
レンガかまど
キャンプ場やBBQ場に設置してある、レンガで造られたかまど。
ブロックかまど
キャンプ場やBBQ場に設置してある、ブロックで造られたかまど。
かまどに約に立つ道具
クワトロポッド今回のかまど作りで利用したクワトロポッドのコールマン ファイアープレイススタンド。立てた時のサイズが約78×78×140(h)cmあるので大型の調理器にも対応できる。太い4本のストレンス製ポールで安定性も抜群。ポールの下をペグなどで固定することができる。荷重により固定されるストッパーでチェーンの長さ調節も簡単。かまどを楽しめる道具としておすすめだ。 |
リンク
|
小型シャベル 折り畳み式今回のかまど作りでかまどの中心を掘った持ち運び便利な小型シャベル。折り畳むことができ持ち運びが便利なので、ひとつ持っているとどんな場面にも重宝するアイテムだ。 |
リンク
|
耐熱 作業用保護手袋かまど作りにひとつあると便利な耐熱の作業用保護手袋。耐熱、耐磨耗に優れてい作業用手袋は、アウトドア の必需品。バーベキュー、焚き火などの作業に使用できる。通気性のある生地を採用し長時間の作業でもムレにくい構造となっている。 |
リンク
|
兵式ハンゴー(4合炊き)かまどに飯ごう!この組み合わせが最高。キャンプでご飯を炊くと言ったらやっぱりはんごう。底に出来るおこげもまた美味しい。 |
リンク
|
ダッチオーブン10インチロッジ社のダッチオーブン。重厚な鉄製によりゆっくりと熱が全体にゆきわたり何でもこなすまさに魔法の調理器具。最近では、ステンレンスや取り扱いが使易いものや安価なダッチオーブンが多く発売されているのだが、ダッチオーブンならロッジ社なのだ。ちなみに私は、安価なサウスフィールド製だ。ロッジが欲しい!! |
リンク
|