観察 | 海の生物:40(画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)
チョウチョウウオ(ナミチョウ)
チョウチョウウオは、スズキ目・スズキ亜目・チョウチョウウオ科・チョウチョウウオ属に分類される海水魚類で、その種類は120種類を超える。写真のチョウチョウウオは、一番数多くいる「チョウチョウウオ」で「ナミチョウ」とも呼ばれ、温帯域の岩礁やサンゴ礁域に生息し、伊豆半島以南で見られる普通種で磯でも漁港でも見られる。チョウチョウウオ科では、最も温帯に適応した種で最も北に生息域を広げている。。体長が20センチ前後になり、頭部に目を通る太い黒帯が1本とその横に白い帯が目立つ。体側の茶色縦線が、平行に走る。体は、強く側扁し吻は突きでていて口は小さい。体色は黄色っぽく、腹びれは胸びれの下あたりにあり、背びれ・腹びれ・しりびれ・尾びれは黄色で黒色の縞が入る。雑食性で、海綿や海草などを食べる。チョウチョウウオの由来は、「蝶々魚」と書きチョウの形に似ているからとも、チョウのようにヒラヒラと泳ぐからとも言われている。 |
ミナミハタンポ
ミナミハタンポは、国内では本州中部以南に分布し沿岸の岩礁域などに生息している。成魚でも体調は12cm前後の小さな魚で、横から見ると平行四辺形に尾鰭を付けたような体型をしている。体は卵円形で強く側扁(そくへん)し、背びれは小さく体の後側は尾柄に向かって急に細くなり、しりびれの基底は長い。吻が短く、口は斜め上に向かっている。眼が大きく体色は赤褐色で、腹は銀白色をしている。鱗は薄く、大きくて剥れやすいが、下にも小さな鱗があり2層になっている。側線は尾びれ後端近くまで伸びる。動物プランクトンや甲殻類等を食べる肉食魚。夜行性だが、浅瀬では昼間に群れているのが見られる。リュウキュウハタンポと似るが、背ビレの後端や胸ビレの付け根がいずれもミナミハタンポは黒くないところから区別でき、ツマグロハタンポと比較すると鱗が粗い。骨が多く食用としては流通しないが、白身の魚でから揚げや塩焼きなどにすると美味しいと言われる。 |
ハコフグ
ハコフグは、フグ目ハコフグ科ハコフグ属のフグ。東北~九州の浅い沿岸の岩礁域に生息し単独で行動する。体長は約20~40cm程度で全身を装甲する硬い甲羅を構成し全体が箱状になっている。甲羅の断面は、ほぼ四角形で全体が箱状になっていて名前の由来でもある。腹びれが無く背鰭と大きな尾鰭でゆっくり泳ぎ胸鰭で方向転換をする。抵抗が大きそうに見えるが、水が滑らかに流れて抵抗が少ない。体に棘などはなく、口、鰭、尾の部分のみ動かすことができる。歯は、吻の先端に鑿状の歯が集まっている。雄の体表色は、背が紺地で青や青緑色の円形の斑が見られ腹部は黄色、 雌の体表色は黄褐色、幼魚は黄色地に黒色の小斑点が散らばる。 フグ科ではないので身には、 フグ毒(テトロドトキシン)は持っていなが、皮膚にパフトキシンという粘液毒を持つ。死んでも毒が出るとのこと。肉や内臓は、無毒なのだが、パリトキシンに類似した毒性物質を蓄積している例もあり注意が必要。 |
エビスガイ
エビスガイは、北海道南部から九州の潮間帯から水深10m位の範囲の岩礁や海藻の間などに普通にみられる大きくても2.5cm前後の巻き貝。色は基本的に鮮やかな橙色~黄褐色で、稀に非常に強い赤色が出ている個体もある。貝殻は、丸みをおびた円錐形で表面には螺旋状の巻いた筋と成長時の成長線がある。体層部分に雲形斑と呼ばれる黒褐色の斑紋が見られる物と黒褐色の斑紋が見られな物がある。(写真の物は出ている)また、足の模様が非常に複雑な事でも知られている。ふたの写真の通り、殻口部分が丸く、貝殻の内側の面は真珠のような光沢がありふたは薄、色は褐色で臍孔(へそあな)は開いていない。卵は、ひも状の卵塊を岩に付着させる。 |
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ヤスリヒザラガイ
ヤスリヒザラガイは、北海道西岸以南、台湾、中国に分布し潮だまりの中にある石の下面で見られる。ウスヒザラガイと似ているが、体の幅がやや広く殻の表面に多数の縦のスジがあり多くのやすりのようにざらざらしているので区別することができる。体長4cmくらいになる。殻色は黄褐色の地に青褐色の斑紋があり褐色の地に濃い色の横縞があるのが普通。頭板には30から50本、中間板には7から10本、尾板には30から37本の放射ろくがある。また、口は腹面にあり、足の全長に及ぶ外套溝に沿って40個近くのえらがある。 |
キヌカジカ
キヌカジカは、沿岸岩礁域やタイドプールに生息し一見カサゴと見間違えてしまうが、第1背ビレの3棘目位が欠けてるようになっている。第1背鰭は、前部が高く欠刻(きれこみ)があり、第2背鰭とは鰭膜で連続しない。前鰓蓋骨最上棘は広く2又。眼上部に房状皮弁があり後頭部にも小さい皮弁を持つ。吻は丸くて短く鋭い鼻棘がある。体色は赤みがかった茶色で、くすんだ白色斑を持ち尻ビレは斜線。オスは生殖器が出ている。吻は丸いので、アナハゼ属と容易に見分けられる。同属のサラサカジカと似るが、サラサカジカの第1背鰭と第2背鰭は鰭膜でつながって連続する。また、キヌカジカの背鰭軟条は13~15で、サラサカジカの背鰭軟条は17~18である。 |
イダテンカジカ
イダテンカジカは、和歌山県以北に生息し。沿岸岩礁域や海草・海藻帯、タイドプールでよく見かける。吻が丸くアナハゼ属と容易に見分けられる。体は滑らかで鱗がなく、腹鰭は1棘2軟条で、臀鰭は10軟条、目の上辺りから頭部後までの皮弁が3対見られることなどが特徴。春先に潮だまりに幼魚が多数出現しアゴハゼに似ているが、頭と胸びれが大きく見える。肉食性で、小型の甲殻類や小魚などを食べている。ムツカジカと似るが、イダテンカジカは皮弁が3対、ムツカジカは1対。 |
アヤアナハゼ
アヤアナハゼは、沿岸岩礁域や海草・海藻帯、タイドプールに生息しハゼ科ではなくカサゴ目カジカ科に属する。体色が紫色っぽい個体が多い。第1背鰭の第2棘と第3棘が他の棘よりも長いこと、臀鰭には数本のやや不安定な斜線が見られることなどで他種と見分けられる。体高が高く側扁し、吻はやや尖り鼻部に小皮弁はあるが鼻棘はない。眼上部に皮弁があり体表は滑らかで、側線上に数本の小皮弁がある。体は褐色で様々な形の濃淡斑紋がある。側線に沿い白色小斑がある。尾鰭後縁は湾入せず、臀鰭に明瞭な褐色斜線が並ぶ。 大きな生殖突起を持つ雄が雌と交尾する体内配偶子会合型という産卵行動をすることが知られている。肉食性で、小型の甲殻類や小魚などを食べている。アサヒアナハゼと似るが、アヤアナハゼは背鰭第2、第3棘が長く臀鰭に褐色の斜め縞があるので見分けられる。 アサヒアナハゼは背鰭第1、第2棘が長いことと、臀鰭に褐色の点々がある。 |