観察 | 海の生物:41(画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)
ミドリアメフラシ
ミドリアメフラシは、アメフラシ目アメフラシ科に分類されるアメフラシの仲間。インド洋から北西太平洋、オーストラリアまで広範囲に分布し国内でも多い。 潮間帯から浅い岩礁帯で見られる小型種のアメフラシで、体長は5cm~10cmくらいまで成長する。体色は、黄緑色から緑褐色が基本だが、色彩変異の幅が広く赤みを帯びた個体などもいる。体表全体に黒色の小さいリング状の斑紋の中に白色の点が入る模様が散在することが特徴。この斑点の数は、多い個体も少ない個体もいるとのこと。刺激すると紫色の汁を出す。見た目が、クロヘリアメフラシやアマクサアメフラシとあまり変わらないので判断基準は黒色の斑紋で見分けるいい。この斑紋ような特徴があるジャノメアメフラシの眼紋と見間違えられることがあるが、ミドリアメフラシの体表面には、黒褐色の放射状黒線はない。 |
ウンモンフクロムシ
ウンモンフクロムシは、磯によくいるイソガニ、イワガニ、ヒライソガニに寄生するフクロムシ。良く見るとカニの卵のつぶつぶがない。ウンモンフクロムシは、一見カニの卵のように見えるがフクロムシの体の一部。この見える部分は、「エキステルナ」と呼ばれフクロムシ自身の卵巣と卵が詰まっている。ウンモンフフクロムシの本体は、カニの体内にあり「インテルナ」と呼ばれる。インテルナは、器官をカニ(宿主)の全身に張り巡らしていて、宿主の栄養を吸収して生きている。問題は、寄生されたカニ(宿主)は、繁殖ができなくなること。ウンモンフフクロムシは、カニ(宿主)から栄養と繁殖能力を奪う。宿主が雄の場合は、雌のようにふるまうとのこと。ウンモンフフクロムシの雄は、浮遊生活をしていてカニに寄生することはない。ウンモンフクロムシに寄生されたイソガニは、全身に根をはられ養分を吸い取られているのだが、背面から見ただけでは分からない。 |
チダイ(血鯛)
チダイは、タイ科チダイ属の魚で外見がマダイによく似ていてマダイと間違われる魚。チダイは、北海道南部以南の日本沿岸から東シナ海の大陸棚まで分布し、沖合の水深数十mの岩礁域を中心に甲殻類、軟体動物など小動物を捕食している。体長は大きくても40cm程度で鯛の中では体高があり鯛らしい姿をしている。体色は赤くマダイに比べると明るく青い斑点が散らばっている。マダイは、あまり群れをつくらないがチダイは大きな群れで行動することが多い。産卵期は、海水温に左右するが秋で9月から11月にかけてが盛期。マダイとの見分け方は、①尾びれの後縁に真鯛のような黒い縁取りが無い。②マダイと違い、エラ蓋の後縁が赤く血がにじんだようになっている。③背鰭の第2棘、第3棘だけが少し長い。この3点でマダイと見分けることができる。 |
ヘダイ
ヘダイは、本州中部以南の日本海及びオーストラリアにかけての西太平洋、東シナ海、更にインド洋にかけての熱帯・温帯海域に広く分布しているタイ科ヘダイ属の魚。クロダイ(チヌ)に似ているが、体色が全体的に白っぽく産地によっては「シロチヌ」や「ギンダイ」などとも呼ばれている。体長は、40~50cm程度で、体形は強く側偏した姿をしていてマダイやクロダイに比べると背が盛り上がり体高が高い。体側には側線に平行するように黄色い小斑点の縦縞がはいっていて腹ビレと尻ビレは黄色味が混じっている。スーパーなどに並ぶ事はほとんどないが、美味しい魚だ。ヘダイは、クロダイと同じ雄性先熟型の生態をもち成長段階ではじめは全てがオスで、ある程度成熟してから精巣が卵巣に変化しはじめメスとなる。一部の個体は性転換せずオスのまま成長しオスとメスが完全に分化する。クロダイと類似するキビレとも間違われるが、ヘダイの方が頭部が丸みを帯びている。 |
トコブシ
トコブシは、アワビと同じ軟体動物門腹足綱ミミガイ科の巻貝の一種で食用とされている。以前は、磯で自由に手軽に獲れたのだが、今では激減し高級なものになってしまい漁業権の中に入ってしまっている。悲しい・・・。藻食性で小型の雑海藻類を好んで食べ、殻は楕円形でアワビの幼貝に似ている。殻頂は後方に寄り,体層が非常に大きくて殻高が低いので殻口も非常に大きい。内面は強い真珠光沢があり、殻表は黒みを帯び個体によっては緑色斑がある。殻表は殻頂から弱い放射肋が出て、粗い成長脈と交わっている。殻口近くに穴が6〜8個(アワビでは4〜5個)あり、水孔は小さく高く盛上がらない。この部分が素人がアワビとの違いがわかる大きな点だ。トコブシの噴水孔は肛門からの排泄物を出すためのものなで、付近の有機質を求めてキクスズメなどがが付着している。このキクスズメがついているものはまず間違いなく国産のもの。北海道南部から九州の潮間帯から水深10mまでの岩礁に生息し産卵期は9~10月。干潮時は、石の下などに潜みこむ。大きくなっても、殻長7cm、殻幅5cm、殻高1.5~2.0cm程度になる。 トコブシの名称は、海底の岩に臥したように付着している姿からつけられたと考えられている。 アナゴ、ナガレコ、ナガラミなどの地方名がある。 よく聞かれる「トコブシ」と「アワビ」の違いは、とにかく穴の数。トコブシは6個から9個あり、アワビは4個から5個空いていて少ない。また、アワビは殻に空いた穴が突起状に上に延びるのだが、トコブシの穴は、突起状ではなく上に延びていなくアワビより平ら。大きくなったとしても7cmから12cmぐらい程度なので、15cm以上のものは、ほぼアワビの可能性が高い。(アワビは、大きいものは20cmから25cmぐらいまで成長する。)但し、小さいアワビとの判別は難しい。トコビシは柔らかくアワビは硬くて、コリコリしているとのことだが、味や食感での判別は難しい。 |
キクスズメ
キクスズメは、軟体動物門腹足綱スズメガイ科の貝。成長すると殻口長 2.5cm,殻口幅 2cm,殻高 1.2cm程度になる。殻は厚質堅固で,殻形は付着生活のためほとんど動かないのだが、宿主の成長に合わせて、宿主の排泄孔の近くへ移動していくとも言われている。一般的には、円錐形で殻頂は多少後方に寄り曲る。殻表は赤褐色で,太く強い放射肋がある。内面は白色から赤褐色で,筋痕は馬蹄形で前方へ開く。アワビやトコブシなどの巻貝の肛門近くに付着し、排泄物を食べている。付着場所の殻を浸食し,そこに石灰質を分泌して筋肉で固着している。大型個体は雌,小型個体は雄なのだが、雄から雌へ性転換もする。交尾によって受精した卵は殻内で保育され,ベリジャー幼生となって泳ぎだす。このキクスズメが、アワビやトコブシのどの貝殻に付着している場合は、ほぼ国産もので天然ものという目印になる。輸入物には付着していないとのこと。北海道南部からインド・太平洋まで広く分布する。 |