見渡す限り真っ白な雪の世界で過ごす雪中キャンプは感動もの!
前頁のコンテンツファミリーキャンプ(41):雪中キャンプの魅力とやり方(1)では、雪中キャンプをやるときに用意する道具を中心に紹介しましたが本頁では、雪中キャンプのやり方を中心に紹介してみたいと思います。 雪中キャンプでのテントは、結露しにくいコットン製テントが良いのですが、価格も高く重たく取り扱いが面倒です。年に数回程度の雪中キャンプならば、雪中キャンプ用のテントを購入せずとも、何とかいつも利用ているテントやタープテント、ツールームテントなどを利用したい人が多いかと思います。 本頁では、いつものテントを利用した場合でのやり方を中心に紹介していきます。私たちも今回は、いつも利用しているテントとシェルターを利用しました。しかしながら、夏用の薄い安価なテントでの雪中キャンプはおすすめできません。 雪中キャンプでのテントやシェルター(タープテント)は、寒気が入らないようにスカートがあるテントやテントタープ(シェルター)またはティピ型テントの方が雪中キャンプには適しています。スカートがあれば、内側に折り雪で固定するだけで外の空気が入ってくることを最小限に抑えることができます。 見渡す限り真っ白な雪の世界で過ごす「雪中キャンプ」は、いつもと違う特別な時間が流れていきます。朝・昼・夜とそれぞれの場面で神秘的な光景が目の前に広がります。降雪や雪上の中で冬の寒い日にわざわざキャンプをするのですから、思い切り楽しみましょう。今回紹介する雪中キャンプの場所は、新潟にあるスノーピーク ヘッドクォーターキャンプ場で、広い草原に雪が積もっている雪の平原キャンプになります。 テント設営場所が比較的平坦なので、雪中キャンプの入門場所には適していると思います。 |
雪の中の私たちのテント |
気持ち良い雪中キャンプの朝
雪が降っている中での雪中キャンプ
雪中キャンプの夜の灯り
「雪中キャンプ」のやり方
今回は、比較的良く管理された広い平坦な草原に雪が積もっているスノーピーク ヘッドクォーターキャンプ場での雪中キャンプです。 雪中キャンプでも様々な環境があるかと思いますが、ここでは「雪中キャンプ」の基本的なやり方を紹介したいと思います。場所によっては、ここで紹介するやり方がベストとは思っていません。 環境にあったやり方で「雪中キャンプ」を楽しんでもらうための参考になれば良いと思っています。雪中キャンプで一番の難所は、雪上でのペグの固定になります。 雪上では、すぐにペグが抜けてしまう可能性もあるので雪をうまく利用していくことがポイントです。 今回の紹介は、私たちが雪中キャンプで利用したロゴスのドームテントにサウスフィールドのシェルター(テントタープ)を雪の上に立てたやり方になります。 ティピ型のポールテントやツールームテントを利用する方もいるかと思いますが、ところどころ参考になる部分があるかと思いますので、自分のテントにあった雪中キャンプのやり方を見つけ出していただければと思います。
1.地ならし(圧雪)
テント設営地を地ならし(圧雪)する
最初に行うのが、テントを設営する場所の地ならし(圧雪)です。 雪が積もっている場所では、スノーシューなどで何回も往来して地ならし(圧雪)をしていく方法もあります。 スノーピークヘッドクォーターキャンプ場は、比較的平らでキャンプ場側が事前に簡単に地ならしをしている場合もあり比較的楽に地ならしができます。雪の上にそのままテントを張ると、床が凸凹になってしまうので、テントの設営前にスコップで雪をかき出したり、スコップやスノーシューで雪を踏み固めていきます。 地面をしっかり踏み固めていないと雪面が沈んでポールが下がりテントのフライシートがたれてしまうこともあります。地面が斜面になっていると、寝にくいです。 また、スコップなどでテントと車やトイレまでの道を確保しておくことも大事です。
2.グランドシートを敷きテント設営開始
グランドシートを敷く
テント設営面の地ならしが終わったら突起物を確認し、いつものように防水のグランドシートを敷いていきます。私のテントは、テント専用のグランドシートなのでテントのインナーテントの端にグランドシートを結び付けていきます。 グランドシートは、雪からの冷たさがダイレクトに伝わるのを防ぎ、体温などによって溶けた雪がテント内を濡らすのを最小限にすることが目的です。グランドシートは、雨対策と同様にインナーテントからはみ出さないようにし、インナーテントとグランドシートの間に雪が入りこまないようにします。 大きいグランドシートならば、折りたたんで調整します。
3.テントの設営
テントの設営
雪の上にテントを立てるポイントは、ペグワークです。状況によって様々ですので、以下の例を参考にペグワークを検討してください。テント内のマットにも工夫が必要です。今回は、写真のように①紙ダンボール紙②アルミシート③テントマットと三重にしました。コットやエアーマット等を活用すればさらに快適になります。結露防止と換気のために、ベンチレーターを少し開けておくことも必要です。
テント底の端ポールのペグ打ち
二つのペグを横に利用する
テントの底の4つ角にはポールを差し込む部分があり通常はペグなどで地面に固定しますが、雪中ではペグが打ち込めません。4つ角にあるポール部分の固定は、鍛造ペグなどの細いペグを横に交互に2本でクロスさせ斜め横に雪の中にさしていきます。
ペグの打ち込み
横に打ったペグを、固定リングに引っ掛け頭まで打ち込みます。雪なので当然、すぐに抜けてしまう状況ですが、雪を多めに足で踏み固め雪の重さとその後雪が凍るのを利用するペグの固定方法です。
打ったペグの上に雪をかけ踏み固める
最後は、打ったペグの上に雪を山のようにかけ踏み固めます。一晩もすると踏み固めた雪が凍りペグが固定されます。横に打つ理由は、ペグが雪に接する部分を可能な限り多くし凍った雪で固定する範囲を広げることにあります。
雪上でのペグ止めとペグ取り
ペグの固定場所を決定する
雪中にペグを打つ方法として一番利用されるのがこの方法です。 ペグを横向きにしロープをかけペグ固定の場所を決定します。横向きの場合は、細いペグよりも太いプラペグの方が固定しやすいです。ロープのテンションも考慮して場所を決めます。
固定場所を掘りペグを横に置く
固定場所が決定したら、ペグを置く場所を掘ります。 掘った穴にペグを横に置きしっかりと雪の中に差し込みます。ペグは、雪面が凍らない昼間にやるのが鉄則です。夕方以降は、暗く雪面も固くなり作業が難しくなります。
掘った穴に雪を埋め込みます
掘った穴に雪を入れペグを埋め込んでいきます。足で雪を固めながら可能な限り雪でペグを固定していきます。はじめは、あまリ強く固定できないですが、この方法も時間がたてば雪が凍りペグの固定が強くなっていきます。
クロスペグ
雪中でのペグとして紹介されるのが、クロスペグです。最近ではクロスペグが、あまり販売されていないので2本のペグをロープでクロスにして固定していく方法が多く紹介されています。 個人的には、クロスペグよりも先に紹介したペグ1本での雪中埋め込み式でも問題ないと感じています。 クロスにすれば、ペグと雪が接する部分が広くなり固定しやすいというのが理由です。
長めの鍛造ペグの直打ち
地面までが20cm程度であれば、 30cm以上の長めの鍛造ペグを地面に打ち込むのが一番強い固定方法です。今回も、テントタープは、30cmの鍛造ペグですべて打ち込みました。 但し、雪が凍りますのでペグ抜きには苦労します。 スコップやペグの引き抜きに使えるハンマーなどが必ず必要になります。
一晩でペグが固定される
ペグやロープは、はじめはぎこちない固定なのですが、時間が立てば雪が降ったり雪が凍ってくるのでロープに強いテンションをかけられるまでペグが固定されていきます。雪中キャンプでのペグ固定は、結局は雪の凍りつきをうまく利用していくことかと思います。
撤収時のペグは凍りついている
雪中でのペグ打ちは、ペグを固定する時も抜く時も苦労します。雪中でのペグは、時間が経つと雪がかぶり凍りだんだん固定されますが、逆に抜く時は、ペグ周りやロープなどが凍りついています。
ペグの周りの雪をスコップで掻き出す
ペグを取る場合には、ペグを固定した位置に積もっている雪や周りの雪をスコップなどで掻き出しペグを取り出せる状態にします。 お湯などをかけ周りの雪を溶かす方法も良く使われる方法です。
ペグ抜きを工夫する
私たちは、ファミリーキャンプ(9):ペグとハンマーで紹介している二つのハンマーを利用しペグを抜きました。 ペグを横にして設置した場合は、雪を掻き出すだけで、ほとんどのペグが取り出せます。
テントの周りとスカートの固定
テントの周りは雪をかける
スカートがあるテントは、テントの底にスカートを入れそこに雪を山なりにかけテントが動かないように固定していきます。スカートがないテントも同様に、テントの周りを雪で押さえ固定するように雪を山なりにかけていきます。雪をかけることにより吹雪いたときの雪や冷気を遮断することができます。
出入口の幕はスカートを雪で固定
テントの出入口などの幕は、 スカートを内側に降り雪をかけ足で踏み固めながらテントの幕を固定していきます。スカートがない場合は、テント幕を雪で囲むように固定していきます。
自然とテントの周りは雪に埋もれていく
ひと晩立てば雪も凍りテントの周りも雪で固定されていきます。雪が降ったり雪下ろしなどした雪が写真のように自然にテントの周りに盛り上がりテントが雪で固定されていきます。テントを立てる時は、風が弱い時の方が適しています。 雪中でのペグ固定や雪でのテント固定は、時間が経てば固定されていきますがテントを立てた直後は固定力が弱いです。
シェルターの立て方
スカートを内側に折り雪で固定していく
先に説明したやり方でペグなどを利用しテントタープ(シェルター)を立てた後に、スカートを内側に折り込み雪をスカートの上にかけ踏み固めていきます。スカートと雪は、テントやシャルターを固定していく重要なツールになります。
シェルターの内側周りを雪で固定する
シェルターは、出入口面を除くすべての内側に雪をかけて固定していきます。シェルターの中には写真のようにシェルターの中に取り外しができるべルトがあります。シェルターの形を保持する役割のべルトは、雪中キャンプ時はそのまま残しベルトの上に雪をかけて行く方が良いと思います。
シェルター内も平らに雪を踏みつけていく
シェルターやリンビングルームの中は、人が過ごす空間です。可能な限り雪を踏みつけ平らにしていくことが過ごしやすいリンビング空間をつくることにつながります。
シェルター内の工夫
ストーブが動かない工夫を!
シェルターやリンビングルームの中は、温かく地面の雪が少し溶けシャーベット状になることもあります。また、ストーブの置き場所が平らでないと、傾いている方向に滑りだします。 ストーブの置き場所は、ストーブの底の形と同じように地面を少し削りストーブが動ないようにする工夫が必要です。 雪の上に置く物は、雪面を少し削り置いたものが滑り出さないようにすることがポイントです。
テーブルなどは雪の地面に刺す感覚で
シェルターの中に普段通りにテーブルを置き物を上に乗せたところ、テーブルの脚が雪の中に入って傾いてしまいテーブルの上の物が落ちそうになりました。雪面にテーブルやイスを直接置いてしまうと重さで雪の中に入って行きます。 雪の地面では、テーブルやイスを奥と言う感覚ではなく足を雪の地面に突き刺して固定することが肝です。雪の上に、脚用の大き目の板などを置くやり方もあります。
ランタンスタンドは、雪中キャンプでも重宝
シェルターやリンビングルームの中では、雪面に刺して使うランタンスタンドがとても役に立ちます。ランタンや乾かしたい物など都合の良い場所にどこでも雪面にさして使えます。この自由度が雪中キャンプでは重宝するキャンプ道具です。
降雪に対する注意
雪下ろしは必須
昼夜問わず雪が降ってテントやシェルターに雪が積もった場合には、必ず雪下ろしをすることが大事です。雪下ろしをしないと、テントやシェルターが雪で押しつぶされる場合もあります。 常に積もっている雪の量を確認し、早め早めの雪下ろしが必要です。特に、寝ている夜中は注意が必要です。
粉雪程度でも一晩で雪が積もる
粉雪程度でも、写真のように一晩で雪が積もります。寝る前には、かならず雪下ろしはやっておきましょう。スノーピーク ヘッドクォーターキャンプ場のスタッフは、キャンプ場を適時見回り雪でテントやシェルターがつぶれない状況なのかどうかの見回りをしていました。
降雪時は無駄な幕は空けない
当然なのですが、降雪時はテントもシェルターも無駄な幕は空けずに締めておくことが基本です。風があると雪が中に入ってきてしまい内部の物が濡れたり気温が想像以上に下がります。 一酸化中毒にならない程度の換気をしながら密閉度を保ちましょう。
番外編
小さなテーブルを外に置く
雪中キャンプでは基本、テントやシェルターの外に物を置かないのですが、外に一つ小さなテーブルがあると便利です。晴れたときに、バーナーコンロを利用したり料理など何かの作業に使えるテーブルあると便利です。 ソリ、スコップなどの置き場としても利用できます。
室内外の温度計
雪中キャンプは、天候との戦いです。室内・室外の温度を同時表示できる温度計は用意しておきたい一つです。室外の温度を知ることにより雪が降ってくるのかどうか、雪や物が凍る温度なのかを容易に知ることができ、先さ先への対応を考えるツールにもなります。
一酸化炭素警報機
雪中キャンプでは、シェルターの中でストーブを燃やすことが多いので、一酸化炭素中毒にならないよう十分な換気を行うことが大切です。完全に信頼してはいけないのですが、「一酸化炭素警報機」を設置すれば、設置しない場合よりも安心感は高まります。 一酸化炭素警報機は、本ホームページファミリーキャンプ(17):キャンプの寒さ対策③ストーブ編で紹介していますので参考としてください。
スノーピーク ヘッドクォーターキャンプ場で見かけた雪中キャンプのスタイル
今回利用したスノーピーク ヘッドクォーターキャンプ場での様々な雪中キャンプのスタイルを紹介したいと思います。雪中キャンプには、これだというスタイルはないかと思います。自分が持っているキャプ用品で工夫をしながら雪中キャプを楽しむがベストだと思います。 キャンプ場で見かけたさまざまなスタイルを紹介しますので、参考になるスタイルを見つけ出してください。
「雪中キャンプ」の事例
典型的な薪ストーブスタイル薪ストーブの煙突がアウトドア感抜群 SnowPeakのアメニティドームとシェルター「リビングシェル」の組み合わせです。このシェルター「リビングシェル」に薪ストーブを置き煙突がでているのでアウトドア感抜群の典型的なスタイルです。シェルター「リビングシェル」からの煙突の出し方、離し方、高さなどが模範的できれいにまとまっています。 スコップもそばに置いてあり雪中キャンプに慣れている方かと思います。 |
DoDのカマボコテントDoDのカマボコテント 人気のDoDカマボコテントも設営されていました。カマボコテントは、オールシーズン対応の2ルーム型トンネルテントで中が広く雪中キャンプにも十分使えるテントです。中にはインナーテントがあるかと思います。リビング+テントをストーブで温めているのでしょう。 大きさがあるので設営に少し苦労しますが、立ててしまえばスカートも備えているので雪中キャンプにも利用できるテントです。 |
最高峰のノルディスクティピー型テントノルディスク ティピー型テント 雪中キャンプに最適とまで言われているノルディスクのティピー型テント。国内の主要なグランピング場でも使われている一級品です。煙突も見えるので中には薪ストーブがあるのでしょう。設営がし易く結露がほとんど無いコットンテントで、しかも煙突を天井のメッシュ部分から出すことができる優れものです。 値段も20万以上するし高値の花ですが、雪中キャンプの最高峰テントだと思います。 |
ツールームテントツールームテント これはSnowPeakの大き目のツールムテント「トルテュライト」かと思います。このように今では、人気があるツールムテントスタイルが多いのではないかと思います。 寝床があるインナーテントとリビングがつながっていて大きなテントとなり、中でストーブなどを利用すれば全体が暖かくなります。 一酸化炭素中毒に気をつけたいですが、現代の雪中キャンプのスタイルなのではないかと思います。 |
ロッジ型テントロッジ型テント どこのメーカーかわからないのですが、今ではあまり見られなくなったロッジ型テントです。重く設営が難しいのですが、いったん立ててしまえば雪中キャンプでも快適に過ごせるテントです。 他のテントと比較しても、ずっしりとしていて安定感がありました。コットンのようなので結露も少なく断熱性も高いかと思います。おそらく中に寝床やストーブがあり快適な雪中キャンプなのでしょう。 |
ヘキサゴンタイプタープヘキサゴンタイプタープ 普段利用しているヘキサゴンタイプタープとテントの組み合わせです。寒かったのではないかと思います。ヘキサゴンタイプタープは、雪面とタープの間に隙間があり出入口が大きく開くので雪中キャンプでは多くの雪が入ってしまいます。 また、雪の重みで倒れやすくなってしまいます。タープの外で焚き火などで暖がとれますが、雪中キャンプでは少し厳しいスタイルかと思います。 |
前室付きのドーム型テント前室付きのドーム型テント これは人気のあるSnowPeakのアメニティドームです。アメニティドームは、前室があり出入口の幕に2本のポールを利用すれば前室にリビングスペースを作り出すことができます。 雪が降った場合などはきついと思いますが、雪がなければ焚き火などで暖を取り過ごせるかと思います。雪中キャンプになんとか耐えられるスタイルかと思います。 |
ソロ用ティピー型テントソロ用ティピー型テント ティピー型テントは、雪中キャンプの中では立てやすいテントです。奥にソロ用のドームテントもあったので4人で来ているのかもしれません。テントから出ている細い筒は、煙突なんですね?中で寝たり暖を取っているかと思います。 すごいな?中がどのようになっているか確認したいです。雪中キャンプに慣れている人たちなのでしょう。 |
The North Face球体ドームテントThe North Face球体ドームテント おそらく「THE NORTH FACE ドーム 5 テント」なのでしょうか、この幻のテントを見るとは思わなかったです。値段も数十万円と高価で、日本ではほとんど見ないテントです。日本でもあまり情報がないテントで中は広いとのことです。 3人のグループが利用されていましたので、中に寝床やリビングがあり快適な雪中キャンプをしているかと思います。 |