オートキャンプでも重宝する「七輪」
「七輪」でサザエの壺焼きを楽しむ
(2017/01/22)
キャンプ用品の中で使い込んでいくと早く消耗していくのが、「バーベキューコンロ(グリル)」なのではないだろうか? キャンプをやりはじめた時は、ほとんどの人が一般的な「4本スタンドのバーベキューコンロ」を選ぶ。私たちもはじめは、この「4本スタンドのバーベキューコンロ」からはじめ何回か取り換えた。しかし私は、ファミリーキャンプが中心で「4本スタンドのバーベキューコンロ」を4人家族で利用すると火つけもめんどうで多くの炭を使ってしまい炭を残してしまう。 この「4本スタンドのバーベキューコンロ」は確かに、大人数で使う場合やバーベキューコンロ上での炭の量で火力調整エリアが作れることは魅力なのだが、あまりやらなかった。そこで、私たちはこの3年前から「卓上バーベキューコンロ」を利用している。 多くの物を同時に焼けないのだが、テーブルの上に置けて非常に使いやすいので重宝している。炭の消耗も少なくなり、炭も安価な「マングローブ切炭」から「岩手切炭」に変えおいしい炭火料理を楽しんでいる。炭に関しては、本ホームーページの「ファミリーキャンプ(22):炭」で詳しく紹介しているので参考にして欲しい。 使い重ねていくとやはりこの「卓上バーベキューコンロ」も消耗し新しいのに変えることになった。 そこで、最初に思い浮かんだのが、卓上コンロで大人気の ユニフレーム「ユニセラTG-III」【PR】 大き目の「ユニセラ TG-III ロング」は、すでに生産が終了している。 この 「ユニセラTG-III」は、セラミックパネルによる遠赤パワーにより炭火を最大限に活かせ大人気のキャンプ用品。キャンプ用品は、コンパクト性、軽量性と運びやすさが重要視され、この「ユニセラTG-III」は、これらの要求をすべて網羅している。しかし、価格が1万円前後と他の「卓上バーベキューコンロ」よりも数倍以上高くなってしまうのが難点。 そこで、私なりに考えてキャンプをしながらテーブルの上で炭火料理が楽しめるアイテム・・・浮かびました「七輪」。焼肉屋などで利用されている「七輪」が気になっていてキャンプでも利用したいと思っていた。キャンプ場でもときどき目にした。本当にキャンプで利用できるのか?丸型(ラッパ型)の七輪の多くは1~2人用を想定し作られているので、4人家族でも使えるのかと思ったが「七輪」を買ってみた。 「七輪」は、炭火料理を楽しむアイテムとしては最高峰。炭の消費量が少なく、炭火の熱効率を最大限に利用できる昔ながらの道具。 なぜ、この優れた七輪が多くのキャンパーに利用されないのかの理由は明白。「重い」「持ち運びが不便」「コンパクトにならない」「壊れやすい」などキャンプ用品が重要視する機能からかけ離れているからだ。オートキャンプが中心の私から見れば、すべてのキャンプ用品は車に入れてしまう。 壊れないように運ぶことに気をつければ、私にとって大きな弱点でもない。「七輪」をキャンプで利用してみた結果は、・・・・Good。今までなぜ「七輪」に飛びつかなかったのか悔やんでしまうほど、満足できるアイテムだった。キャンプ用品で重要視される機能からかけ離れているが、本当の炭火料理をキャンプで楽しみたい人は、ぜひ「七輪」を利用してほしい。 「七輪」の魅力にはまってしまった人は、おそらくこの魅力から抜け出せないと思う。
「七輪」とは?
七輪は、炭火で網や鍋などをのせ、焼いたり煮炊きをする道具。日本では、昭和の初めごろまで日常的に使われていて、かまどで煮炊きをする脇で魚を焼くなど補助的な燃焼調理器具として日本の豊かな炭火文化や食文化を生み出していた。
「七輪」は、少ない炭で効率よく熱を使うことができ、炊飯から煮炊き、汁物、湯沸かしなど、わずかな炭でまかなえる。「七輪」は、江戸時代に陶器製で現代に近い形のものが出現し、珪藻土製のものは明治時代以降に爆発的に普及したと言われている。 珪藻土(ケイソウド)は、藻類の一種である珪藻の殻の化石が堆積した物で、断熱性、保温性に優れているため建材(壁土)などに利用されている。
七輪は、この珪藻土を使ったものが主流。断熱性が高いので内部の高温を外側に逃がしにくく、高い保温性で温かさが長く持続する。
七輪は、丸形のラッパ型が主流だが今では、セラミック素材や金属素材でできた「七輪」もあり大きさや形がさまざまなものが販売されている。
七輪の構造
七輪の断面図(丸形のラッパ型)
七輪は、上部に向かって緩やかに開いた円筒で下に数センチの扉がついた送風口がある。この扉を開け閉めすることで火力調整ができる。七輪の中には、炭をのせる火皿があり中ほどでとまるようにできている。 火皿があることにより送風口から入る風を火に十分に送り込んだり、底が熱くなりすぎないようにしている。七輪は、下の送風口から空気を取り入れて上に向かって全ての熱を放射する。 鍋などで七輪の上部を全てふさぐと酸欠状態になり炭の温度が200~300℃まで下がってまう。そこで、ほとんどの七輪上部は、これを防ぐために円形の金属で置き台があったり内側のフチが波状に縁取ってある。 七輪は、火力調整すれば温度を1200℃近くにまで上げることができるが、練り製の七輪などでは1,000℃を超えるヒビ割れなどを起こすものもある。時間がたつと熱が底にたまっていき、高温になるのでテーブルなどで利用する場合は、必ず敷き板をするようにする。
七輪の魅力と欠点
七輪の魅力
・組み立てなしで、すぐに使える。 |
七輪の欠点
・焼き物なので割れる可能性がある。 |
七輪への火のつけ方
七輪は、炭に火がつきやすい構造をしていて、少ない炭で強い火力を生み出し長い時間使用が可能で使う炭も少なくてすみます。 火力も強く、通常の七輪なら小さくても4人くらいまでなら十分対応できます。 炭が赤くなれば炭を追加していき、うちわで扇いでいきます。 火がつくまで多少時間がかかりますが、これもまた七輪ならではの楽しみです。
購入したラッパ型 七輪
購入した敷き板と炭
今回利用した着火剤
①炭に火をつける準備
火皿をセットしその上に着火剤と小さな炭をのせる。今回は、木材繊維質に灯油が湿らせてある着火剤を使用。火付きが良く 小粒にできるので七輪向。ただし、灯油の匂いがするので着火剤が十分燃え匂いがしなくなったことを確認してから食材を置く。
②着火剤に火をつける
着火剤に火をつける。炭は、小さな炭を使い炭と炭の間に十分な隙間をつくると着火しやすくなります。また、「火おこし器」「ガスバーナー」などを使うのも手です。火花が散ったり、はじけたりする場合もあるので、のぞき込んだりしないように。
③炭に火が付くのを待つ
炭自体が赤く燃え始めます。送風口から少しずつ風を送ってください。炭がまだ小さくしか燃えていない時に強い風を送ると火が消えてしまうことがあります。
④炭を追加する
最初の炭が赤くなり火が付いたら炭を追加し、送風口へうちわで扇いでいきます。火がつくまで多少時間がかかります。炭の量は七輪や炭の大きさ、種類によって異なりますが、底が隠れる程度、七輪の名の通リ7分目が基本です。焼き肉での七輪は少し多めに重ねます。
⑤完成
中の炭がしっかり燃え、上の炭の底に火が着いたら完成です。あとは、網をのせ食材を置いていきましょう。炭火がこの段階に入ると炎(火柱)がないのが普通。炎が上がっている場合は火力が強すぎるか、炭に生の成分が残っているか良くない炭のどちらかです。
ちょうどいい「熾き」状態
木炭の1本1本のすべてに火がついて内部まで赤くなりかつ1本1本の表面が白い粉のようなものがでてる状態を「熾き(オキ)」と言う。この状態が、木炭の使い頃状態で炭火料理を楽しむにはちょうどいい状態。「熾き」状態を基点に木炭の火加減をしよう。
七輪調理の基本
七輪は、強い炭火で焼き肉や焼き鳥、旬の秋刀魚などを焼き上げることができる。ところが脂のたっぷりのったうまみのある食材は、熱で溶け出した脂が炭火にたれ、一気に燃え出して煙が出て調理物が真っ黒になってしまうこともある。七輪は、下にある送風口の開け閉めによる過料調整が肝。 鍋料理で火力調整を覚えることからはじめるのも一つの方法。また、焼き鳥などの串を使ったものを焼くと串自体が焼けてしまうこともある。七輪で串物を焼くには、レンガなどを七輪に置きブリッジをつくりば高さを調整して焼くことなどの工夫も七輪をうまく使うコツでもある。 ダッチオーブン料理も七輪でできるのだが、ダッチオーブン自体が重たいので10インチのものまでにしておく方が無難。また練り製の七輪の場合は、七輪自体が崩れてしまうこともある。個人的には、ダッチオーブンは、焚き火台+トライポッドだと思う。また、熱燻法と温燻法による燻製もダンボールなどを利用してできてしまう。 七輪は、期待以上の調理器なのだ。
七輪の送風口 |
七輪は、送風口の開け閉めおよびうちわなどでの送風によって火力調整ができる。七輪は、温度を1200℃近くにまで上げることができる。炭が細かくなり、灰や炭の燃えカスが火皿や七輪底部にたまると火力は一気に落ちるので、炭と火皿をトングで取り出し、あらたに炭を加えればすぐに火力は復活する。 |
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貝類を焼く |
焼トン(カシラ)を焼く |
野菜を焼く |
炭の再利用と七輪の後片づけ
炭の再利用
燃えている炭は、上手に鎮火させれば再利用できる。燃えている炭をきれいに消火する方法は、酸素を取り上げてしまうこと。 炭に水をかけて熱を奪うよりも、酸素を奪ったほうが消火した炭はそのまま次の七輪調理やバーベキューで利用できる。 意見が分かれるとこなのだが、七輪の上部を完全に封じ火消し壷代わりに使うこともできるのだが、Shizengateではおすすめしない。 やはり、火消し壷の利用かおすすめで、火消し壷がなければ今回のように空気が入らない密閉できる金属製の缶などでも代用できる。 七輪が珪藻土製の場合は、内部の炭に直接水をかけて消火することは厳禁。
七輪の後片づけ
使用後は、燃えている炭は火消し壷に入れ、残った炭の灰は、水などをかけずに自然に冷めるのを待って火が消えているのを確認してから掃除する。熱いうちに金属部に触れるとやけどをするので注意が必要です。 七輪は、陶器で素焼きの状態。ぶつけたり、落としたりすれば簡単に傷ついたり、割れたりするので取り扱いに注意が必要。七輪の素材である珪藻土は、湿気の多い場所では水分を含んで表面が弱くなりやすいので、湿気の少ない場所に保管する。 使用中に油や汁などがこぼれた場合、珪藻土が吸い込みますので、どうしても跡が残る。固く絞った雑巾などで、表面についた食材のカスなどを取り除く。七輪は原則、洗いません。
トングで残った炭を取る
使用後は、トングなどで火がついている炭や灰は火消し壷に入れる。使用後は七輪が熱いので灰の掃除などは、七輪が十分に冷めてから行う。灰の掃除は、七輪が十分に冷めてからにする。
火消し壷に代用したCoffee缶
火がついている炭や灰は火消し壷に入れる。火消し壷がない場合は写真のような、密閉状態が可能なフタができる大きな金属製か陶磁の入れ物を利用する。今回は、大きなコーヒー粉缶を代用した。
七輪を自然に冷ます
使用後の七輪と炭や灰が入った火消し壷は、自然に冷めるのを待とう。火が消えているのを完全に確認してから七輪は掃除する。炭は、次回の七輪に利用すれば火付きがいい炭として使える。